両者を分けるのは自社の検査ラインの有無という一点
工場の標識と認証番号から読み取れる情報の中身
2020年に加わった電子制御装置整備が持つ意味
認証工場と指定工場は何が違うのか、車検の見積もりを見比べているときに手が止まる方は少なくありません。結論を先にお伝えすると、両者を分ける決定的な違いは自社に検査ラインを持ち、検査まで工場内で完結できるかという一点にあります。認証工場は分解を伴う整備までを担当し、検査は運輸支局へ車を持ち込みます。指定工場は社内の自動車検査員が合否を判定し、保安基準適合証を交付できます。この差は道路運送車両法で定められた許認可の種類から生まれるもので、整備技術の優劣を直接示すものではありません。記事を読み終えるころには、工場の掲示と認証番号を見ただけで頼める作業の範囲を判断できるようになります。
1. 特定整備認証という制度の位置づけ
特定整備認証は、車の安全に直結する分解作業を国の管理下に置くための許可制度です。認証を受けていない工場は、分解を伴う整備を引き受けられません。根拠は道路運送車両法で、事業として特定整備を行う者は地方運輸局長の認証を受けなければならないと定められています。つまり認証は腕前の証明書ではなく、その作業を引き受けてよい立場かどうかを示す区分だとお考えください。
認証は、対象とする自動車の種類ごとに区分が分かれています。普通自動車、小型自動車、軽自動車といった区分があり、工場がどの区分を持つかで受けられる仕事の範囲が変わります。2020年4月1日の法改正で、従来の分解整備は特定整備という名称へ切り替わりました。同時に電子制御装置整備が新たに加わり、認証の中身は大きく2つの柱で構成されています。名称が変わったのは、整備士が触れる装置の範囲そのものが広がったためです。
現場でよく見られるのは、整備の見積もりを総額だけで比べてしまう失敗です。同じブレーキ整備という言葉でも、パッドを交換するだけの作業と、キャリパーを分解して内部を点検する作業では必要な資格が違います。後者は認証工場でなければ引き受けられません。依頼先を検討するときは、まず受付や作業場の入口に掲げられた標識を1分だけ見てください。そこに書かれた認証の区分が、その工場へ頼める作業の上限を示しています。
認証がなければ触れられない作業がある
特定整備に当たる作業は、法令で具体的に列挙されています。原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置の取り外しを伴う整備が対象です。オイル交換やタイヤの脱着は、この範囲に含まれません。そのため、認証のない事業者でも軽微な作業だけを扱う店舗は存在します。依頼したい作業がどちら側に入るのかを最初に確認すると、工場選びの選択肢が自然に絞り込めます。
判断に迷う場合は、作業の名称ではなく部品を取り外すかどうかで考えてください。取り外して内部を点検する作業であれば、認証の範囲に入ると考えて差し支えありません。受付で作業内容を具体的に伝えると、対応の可否をその場で回答してもらえます。
認証は国が管理する許可の一種
認証は一度取得すれば終わりというものではありません。設備や人員の要件を満たし続けることが前提で、変更があれば届け出が必要になります。運輸局による立入検査の対象にもなっています。つまり認証工場という表示は、国の基準を継続して満たしている状態を外から見える形にしたものです。見積書の金額だけでは分からない部分を、制度が裏側から支えているとお考えいただくと理解しやすくなります。
認証の有効性は、事業場ごとに管理されています。事業者が変わった場合や移転した場合には、あらためて手続きが必要になります。標識の記載内容が現状と合っているかを見ることは、この手続きが適切に行われているかを外から確認する方法でもあります。
2. 分解整備を行える工場の条件
分解整備を行える工場になるには、場所と設備と人の3つを同時にそろえる必要があります。作業場の広さ、車両を置く場所、点検整備に使う機械器具、そして整備主任者の選任が要件です。どれか1つでも欠けると認証は受けられません。技術のある整備士が独立しても、すぐに認証工場を名乗れない理由がここにあります。
設備面では、車体を持ち上げるリフトやジャッキ、トルクレンチ、サイドスリップテスタといった機器が求められます。作業場は扱う車種の区分に応じた面積が必要で、軽自動車のみの区分と大型車を含む区分では求められる広さが変わります。屋根と壁で囲われた作業場という点も条件の一つです。青空整備では、雨天時にブレーキの分解作業を安定して行えないためです。設備の一覧は認証申請の際に運輸局へ提出し、実地の確認を受けます。
実務での傾向として、要件の中で最も時間がかかるのは人の確保です。整備主任者になれるのは一定の等級の自動車整備士資格を持つ人に限られ、募集をかけてすぐ見つかるとは限りません。工場を新設する場合、設備の搬入よりも人員の調整に期間を要するケースが多く見られます。依頼する側から見れば、認証の表示は人員がそろっている証でもあります。標識に整備主任者の氏名が記載されているのは、責任の所在を明示するためです。
設備と作業場に定められた基準
作業場の基準は、車を1台入れて周囲で作業できる空間を前提に決められています。車両置場も別に確保が必要で、道路に車をあふれさせない構造が求められます。機械器具は点検用と整備用の両方が必要です。たとえばブレーキの分解を行うなら、締め付けトルクを管理する工具が欠かせません。工場を訪れた際に作業場が整理されているかを見ると、日常の管理水準が判断しやすくなります。
工具の置き場所が決まっている工場は、作業の手順も標準化されている傾向があります。床に油が残っていないか、部品が整理されているかといった点も目安になります。見学を断られない工場であれば、作業環境を自分の目で確かめられます。
整備主任者という責任者の存在
整備主任者は、分解整備の作業内容と記録を管理する責任者です。作業の指示、完成検査、記録簿への記入までを担います。1つの事業場に必ず選任され、氏名が標識へ記載されます。研修の受講も継続して求められるため、制度の変更にも追従する立場です。誰が作業を確認したのかが残る仕組みは、後からのトラブル対応でも効いてきます。
整備主任者は、作業者への指示だけでなく完成後の確認まで担当します。同じ人が作業と確認を兼ねる場合でも、責任者として記録に名前が残ります。問い合わせの際に担当者名を控えておくと、次回以降のやり取りがスムーズになります。

3. 指定工場が持つ検査ラインという設備
指定工場と認証工場を分けているのは、運輸支局と同等の検査ラインを自社に持っているかです。指定工場は指定自動車整備事業の指定を受けた工場で、民間車検場とも呼ばれます。検査機器と自動車検査員を備え、自社で合否を判定できる点が特徴です。合格と判断した車には保安基準適合証を交付し、車を運輸支局へ持ち込まずに手続きを進められます。
検査ラインに並ぶ機器は、運輸支局の検査コースとほぼ同じ構成です。ブレーキテスタ、スピードメータテスタ、ヘッドライトテスタ、サイドスリップテスタ、排出ガステスタが代表例で、下回りを見るための点検路も必要になります。機器は定期的な校正を受け、精度を保つことが前提です。設備投資の規模が大きいため、すべての整備工場が指定を目指すわけではありません。認証工場のまま運輸支局へ持ち込む運用を選ぶ工場も数多くあります。
よくある誤解は、指定工場のほうが整備の腕が上だと考えてしまうことです。実際には検査を自社で行えるかどうかの違いで、分解整備の技術要件は認証の段階で共通して課されています。納車までの日数や代車の有無、見積もりの内訳といった要素は、指定の有無とは別に工場ごとで異なります。依頼先を選ぶときは、自分が重視する条件を先に決めてから比較してください。制度上の区分は、そのための材料の一つです。
検査に使う機械器具の内訳
検査機器はそれぞれ見る項目が決まっています。ブレーキテスタは制動力、スピードメータテスタは速度計の誤差、ヘッドライトテスタは光軸と光度を測ります。サイドスリップテスタは前輪の横滑り量を確認する機器です。排出ガステスタは一酸化炭素と炭化水素の濃度を測定します。どの数値も基準値が定められており、測定結果は記録として残されます。
機器の数値は合否の判断だけでなく、次回までの見通しを立てる材料にもなります。制動力に余裕があるか、光軸が大きくずれていないかといった情報は、整備の優先順位を考えるうえで役立ちます。結果を書面で受け取れるかを確認しておいてください。
自動車検査員が担う判定の役割
自動車検査員は、指定工場で合否の判定を行う立場の人です。整備を担当した整備士とは別の視点で、基準に適合しているかを確認します。選任には所定の教習を修了する必要があります。作業する人と判定する人を分ける構造は、見落としを減らすための仕組みです。この体制があるからこそ、民間の工場が検査を代行できます。
| 項目 | 認証工場 | 指定工場 |
|---|---|---|
| 分解を伴う整備 | できる | できる |
| 検査ライン | 持たない | 自社に持つ |
| 車検時の検査 | 運輸支局へ持ち込む | 自社で判定できる |
| 必要な有資格者 | 整備主任者 | 整備主任者と自動車検査員 |
4. 上尾市仲町で工場を選ぶときに確認したい掲示
工場選びで最初に見るべきは、事業場の見やすい場所に掲げられた標識です。認証工場と指定工場はいずれも標識の掲示が定められており、そこに事業場の名称、認証番号、事業の範囲、整備主任者の氏名が記載されています。ここを読めば、その工場が扱える車種と作業の範囲が分かります。ホームページの表現より確実な一次情報です。
埼玉県上尾市仲町のように、住宅と商店が混在するエリアでは、工場の規模も業態もさまざまです。看板に車検の文字があっても、それが自社で検査まで行う指定工場なのか、運輸支局へ持ち込む認証工場なのかは外観からは判別できません。標識の左上に書かれた区分の表記を確認するのが最短の方法です。あわせて料金表が掲示されているかも見てください。法定費用と整備費用が分けて書かれていれば、見積もりの読み合わせがしやすくなります。
実務でよくある行き違いは、車検の総額に何が含まれるかの認識差です。自賠責保険料、自動車重量税、印紙代は法定費用で、どの工場に頼んでも金額は同じです。差が出るのは整備費用と代行手数料の部分になります。見積書を受け取ったら、この2つの区分がはっきり分かれているかを確かめてください。なお当社は関東運輸局の認証工場として、受付に認証番号を掲示したうえで整備をお受けしています。
標識に書かれている項目を読む
標識の様式は定められており、記載項目もほぼ共通です。事業の範囲の欄には、普通自動車や小型自動車といった区分が並びます。自分の車の区分が含まれているかを確認してください。軽自動車のみの区分であれば、普通車の分解整備は受けられません。持ち込み前に電話で伝えておくと、当日の待ち時間を減らせます。
事業の範囲には、整備の種類も併記されます。電子制御装置整備の記載があるかは、近年の車ほど重要になる項目です。初めて訪れる工場であれば、標識を撮影しておくと後から見返せます。記載内容に疑問があれば、受付で質問しても差し支えありません。
料金表と見積書で確認する範囲
料金表は、作業ごとの目安を知るための資料です。車検基本料と整備費用が別建てになっているかを見てください。交換部品が発生した場合の扱いも事前に確認しておくと安心です。追加整備が必要になったときに連絡をもらえるかどうかも、聞いておきたい点になります。金額の上限を先に伝えておくと、判断の行き違いが起きにくくなります。
5. 車を陸運局へ持ち込む場合の流れ
陸運局という呼び方は通称で、正式には運輸支局または自動車検査登録事務所を指します。認証工場に車検を依頼した場合、整備を終えた車はこの窓口へ運ばれ、検査コースを通ります。認証工場が代行する形が一般的で、依頼者が同行する必要はありません。流れを知っておくと、預かり日数が数日になる理由も納得しやすくなります。
手続きは、書類の準備から始まります。車検証、自賠責保険証明書、自動車税納税証明書のほか、点検整備記録簿が必要です。窓口で重量税と手数料の印紙を購入し、申請書を提出してから検査コースへ進みます。検査コースは平日の限られた時間帯しか稼働していません。
土日や祝日は受付がないため、工場側は平日の枠に合わせて予定を組みます。この制約が、預かり期間を左右する大きな要因です。
現場でよくあるのは、検査で1項目だけ基準を外れて再検査になるケースです。ヘッドライトの光軸は代表的な例で、その場で調整して再度ラインへ入ります。再検査は当日中であれば追加の手数料がかからない扱いが一般的ですが、日をまたぐと手続きが増えます。工場が整備の段階で数値を測っておくのは、この手戻りを防ぐためです。依頼時に気になる症状を伝えておくと、事前点検の精度が上がります。
持ち込み当日までに整える書類
書類は依頼者側で用意するものと、工場が作成するものに分かれます。車検証と自賠責保険証明書は車内に備えている場合が多く、そのまま預けられます。納税証明書は電子確認で省略できる場合があります。紛失していると手続きが止まるため、依頼の前に一度確認してください。印鑑や委任状の要否も、あわせて聞いておくと安心です。
検査コースで見られる項目
検査コースでは、機器による測定と目視の検査が組み合わされます。同一性の確認、外観検査、サイドスリップ、ブレーキ、スピードメータ、ヘッドライト、排出ガス、下回りという順に進みます。下回りはピットから打音や漏れを確認します。1台あたりの所要時間は短く、流れ作業で進みます。不適合があればその場で指摘されるため、結果は当日に判明します。

6. 認証番号から読み取れる情報
認証番号は、その事業場が正式に認証を受けている事実を示す固有の番号です。標識には発行した地方運輸局の名称とともに記載され、ハイフンで区切られた形で表されます。番号そのものに工場の評価は含まれません。あくまで、どの運輸局の管轄で登録された事業場かを識別するための記号だとお考えください。
読み取るべき情報は、番号の数字よりも併記されている項目にあります。発行元の運輸局名、事業の範囲、整備主任者の氏名、事業場の名称と所在地がそろって初めて意味を持ちます。所在地の表示が実際の場所と一致しているかも確認したい点です。移転や事業者の変更があった場合には届け出が必要で、標識の内容も更新されます。古い表示のまま放置されている場合は、受付で背景を尋ねてみてください。
参考までに、当社は関東運輸局の認証工場(第4-6003号)として登録されています。番号を公開しているのは、依頼者が事前に確認できる状態を保つためです。現場でよくある質問は、番号が若いほど歴史が長いのかという点ですが、番号は管轄や登録の経緯によって付与されるため、単純な比較はできません。番号を並べて優劣を判断するのは避けてください。確認すべきは、事業の範囲が自分の依頼内容に合っているかどうかです。
番号の構成と発行元の関係
認証は地方運輸局長が交付するため、番号の前には必ず運輸局名が付きます。埼玉県内の事業場であれば関東運輸局の名称が入ります。番号は事業場ごとに固有で、重複しません。同じ会社が複数の拠点を持つ場合、拠点ごとに別の番号が与えられます。名刺や看板の番号と標識の番号が一致するかを見ると、表示の正確さが分かります。
事業の範囲が示す対応できる作業
事業の範囲は、対象自動車の区分と整備の種類で構成されます。普通自動車、小型自動車、軽自動車などの区分に加え、電子制御装置整備の記載があるかも確認します。記載のない作業は、その工場では引き受けられません。衝突被害軽減ブレーキを備えた車では、この欄の有無が依頼先の判断を左右します。事前に電話で車種と年式を伝えると、対応可否を短時間で確認できます。
標識で見る3点
7. 電子制御装置整備が加わった背景
電子制御装置整備が制度に加わったのは、運転支援装置を積んだ車が一般的になったためです。カメラやレーダーが前方を監視し、自動でブレーキをかける仕組みが広く普及しました。これらのセンサーは、取り付け角度が数ミリずれるだけで検知の精度が変わります。機械部品の整備とは別の知識と機器が必要になったことが、制度改正の出発点です。
2020年4月1日の改正で、従来の分解整備に電子制御装置整備が加えられ、特定整備という枠組みに整理されました。対象となるのは、自動運行装置、前方を監視するカメラやレーダー、側方や後方を監視する装置の取り外しや調整です。フロントガラスの交換でもカメラの再調整が必要になる場合があります。この再調整はエーミングと呼ばれ、専用のターゲットと水平な床面を使って行います。作業には整備用スキャンツールも必要です。
改正には猶予期間が設けられ、2024年3月31日までの経過措置を経て本格運用に移りました。2026年現在は、電子制御装置整備の認証がなければエーミングを伴う作業を引き受けられません。実務でよく見られるのは、板金修理の見積もり段階でこの点が抜け落ちるケースです。バンパーやガラスを交換したのにセンサーの調整が行われないと、運転支援機能が正しく働かない状態のまま納車されるおそれがあります。依頼時には、調整まで含まれるかを必ず確認してください。
運転支援装置の普及が変えた整備の範囲
かつての整備は、機械部品の摩耗や漏れを見ることが中心でした。現在はセンサーが正しく外界を認識しているかという視点が加わっています。数値で確認する作業が増えた点が大きな変化です。車体の修理とセンサーの調整は連動しており、片方だけでは完了しません。見積書に調整作業の項目があるかを確かめる習慣をつけてください。
センサーの位置は、車種ごとに決まっています。フロントガラスの内側、バンパーの中、ドアミラーの下など、外からは見えにくい場所に取り付けられている場合もあります。修理の範囲がこれらの部位に及ぶかどうかが、調整の要否を左右します。
エーミング作業に必要な環境
エーミングには、水平が確保された床面と十分な作業スペースが必要です。ターゲットを車両の正面へ正確に設置し、規定の距離を取ります。屋内で光や風の影響を受けない環境が前提になります。車種ごとに手順が異なるため、整備要領書の参照も欠かせません。設備と情報の両方がそろって初めて成立する作業だと言えます。
注意
同じ車種でも、グレードや年式によって搭載されている装置が異なります。運転支援装置の有無は車検証だけでは判断できない場合があるため、修理や交換を依頼する前に、装備の内容を工場へ伝えておくと確認がスムーズになります。
参考:さいたま市西区で車検整備の時間を短縮!立ち会い車検の魅力
8. ディーラーと専門工場の役割の違い
ディーラーと専門工場の違いは、扱う車の範囲と、メーカーとのつながりの深さにあります。ディーラーは特定のメーカーの新車販売を担い、保証修理やリコールの窓口になります。専門工場はメーカーを問わず複数の車種を受け入れる点が特徴です。どちらが優れているという話ではなく、依頼内容によって向き不向きが分かれます。
新車の保証期間内であれば、保証の対象となる修理はディーラーが窓口になります。リコールの作業も同様です。
一方、保証期間を過ぎた車や、板金塗装を伴う修理では専門工場が選ばれる場面が増えます。年式が古い車ほど、部品の調達や補修の判断に経験が求められます。中古部品やリビルト部品を使う選択肢を提示できるかどうかも、工場ごとの差が出る部分です。修理と買い替えの比較相談に応じられる点も、販売を兼ねる工場の役割になります。
実務での傾向として、1台を長く乗る方ほど相談できる窓口を1か所に決めておくほうが結果的に効率的です。過去の整備内容を把握している工場であれば、次の交換時期の見通しも立てやすくなります。逆に、依頼先を毎回変えると、前回どこまで手を入れたかが分からず、同じ点検を繰り返すことになります。どちらに頼むかを作業の種類で使い分けるのも現実的な方法です。保証修理はディーラー、日常整備と板金は近隣の認証工場という形が代表的です。
新車保証とリコールの窓口
新車保証は、メーカーが定めた期間と条件の中で適用されます。保証書に記載された範囲を超える修理は対象外です。リコールの作業費は原則として無償で行われます。該当の有無は車台番号で確認できるため、心当たりがあれば照会してください。保証が使える作業を有償で依頼してしまうのは避けたい失敗です。
年式の古い車と板金塗装の受け皿
板金塗装は、へこみや傷を整えて塗り直す作業です。下地処理と色合わせの精度が仕上がりを左右します。隣接するパネルとの色の連続性を見る工程が要になります。年式の古い車では、塗装の退色を踏まえた調色も必要です。修理範囲を写真で共有しておくと、見積もりの精度が上がります。
板金塗装では、修理と交換のどちらを選ぶかで費用と期間が変わります。損傷の深さや位置によって判断が分かれるため、理由をあわせて説明してもらうと納得して選べます。保険を使う場合は、手続きの流れも先に確認しておくと安心です。
| 依頼内容 | 向いている依頼先 | 理由 |
|---|---|---|
| 新車保証の修理 | ディーラー | 保証の適用窓口になるため |
| リコール作業 | ディーラー | メーカーが作業手順を指定するため |
| 板金塗装 | 専門工場 | 下地処理と調色の設備を持つため |
| 年式の古い車の整備 | 専門工場 | 部品の選択肢を提案しやすいため |

9. 整備の記録が残る仕組みの意味
特定整備を行った工場には、記録簿を作成して一定期間保存する義務があります。いつ、どの部位に、どのような作業を行ったかを残す仕組みです。作業を担当した整備主任者の確認も記録されます。この積み重ねが、その車の状態を説明できる唯一の客観的な資料になります。
記録簿には、点検した項目ごとの結果が記号で記入されます。分解整備を行った箇所、交換した部品、走行距離が主な内容です。電子制御装置整備を行った場合は、その作業内容も記録の対象になります。
記録簿は車検証と一緒に保管しておくのが基本です。紛失しても再発行できない場合があるため、車内のダッシュボードにまとめて入れておく方法が確実です。次回の整備でも、前回の数値と比較する材料になります。
現場でよくあるのは、記録簿を受け取っていても中身を見ないままにしてしまうことです。ブレーキパッドの残量やタイヤの溝は数値で書かれているため、前回と今回を並べれば減り方の速さが分かります。この比較ができると、次の交換時期を予測しやすくなります。売却や乗り換えの場面でも、整備の履歴がそろっている車は状態を説明しやすくなります。受け取った記録簿は、必ず一度目を通してください。
記録簿に残される内容
記録簿の様式には、点検項目が一覧で並んでいます。良好、調整、交換といった記号で結果が示されます。数値で記入される項目は経過を追う手がかりになります。ブレーキパッドの厚みやタイヤの溝の深さが代表例です。交換した部品名が明記されているかも確認しておきたい点です。
記録が次の整備と売却で効く場面
記録が残っていると、別の工場へ依頼する場合でも状況を伝えやすくなります。直近の作業内容が分かれば、重複する点検を省けます。売却時には車の管理状態を示す資料になります。定期的に整備されてきた履歴は、説明の裏づけとして機能します。保管場所を決めておくだけで、必要なときにすぐ取り出せます。
車検証入れに記録簿をまとめておくと、点検のたびに追加していく形で履歴が積み上がります。書類が増えてきたら、古いものを自宅で保管する方法もあります。数年分がそろうと、その車の傾向が読み取れるようになります。
10. 制度を知ることが工場選びの土台になる理由
制度を知る価値は、見積もりの金額差がどこから生まれているかを説明できるようになる点にあります。認証の区分、検査ラインの有無、電子制御装置整備への対応。この3つが分かれば、同じ車検という言葉の中身を分解して比べられます。判断の軸を自分の側に持てることが、制度を学ぶ最大の意味です。
安い見積もりには必ず理由があります。整備項目を絞っている場合もあれば、部品の選択で調整している場合もあります。安さ自体が問題なのではなく、内訳が分からないことが問題です。
逆に高い見積もりでも、予防的な交換を含んでいるなら合理的な場合があります。項目ごとに必要性を尋ねると、工場側の説明の丁寧さも見えてきます。判断に迷ったら、今すぐ必要な作業と次回でよい作業を分けて示してもらってください。
工場との付き合いは、1回の車検で終わるものではありません。次の車検までの2年間に、点検や不具合の相談が発生します。連絡が取りやすい距離にあるかも実務的には重要な条件です。当社は埼玉県上尾市本町で鈑金塗装と車検整備、車の販売をお受けしており、営業時間は9時から18時、定休日は日曜・祝日と隔週の土曜となっています。制度の区分を踏まえたうえで、相談しやすい窓口を決めておくことが、結果として車を長く使うことにつながります。
安さの理由を分解して考える
車検の費用は、法定費用と整備費用と手数料で構成されます。法定費用はどこに頼んでも同額です。比較すべきは整備費用と手数料の2つだけになります。総額だけを見ると、この区分が混ざって判断を誤ります。見積書を項目ごとに並べると、差の正体がはっきりします。
長く付き合う工場の見極め方
見極めの材料は、説明の仕方に表れます。交換が必要な理由を部品の状態で示せるかが一つの目安です。今回は見送ってよい項目を伝えてくれるかも判断材料になります。記録簿の内容を一緒に確認してくれる工場であれば、次回以降の相談もしやすくなります。まず小さな整備から依頼して様子を見る方法も有効です。
オイル交換やタイヤの交換といった作業でも、説明の丁寧さや応対の姿勢は十分に分かります。そのうえで車検や板金を任せるかを判断すれば、大きな失敗を避けられます。近隣に複数の選択肢がある場合ほど、この進め方が有効です。
依頼前の3つの確認
制度の理解が、車を任せる先を決める判断材料になります
認証工場と指定工場の違いは、検査を自社で行えるかどうかという制度上の区分です。どちらも分解を伴う整備を行える点は共通しており、優劣ではありません。標識と認証番号、そして見積書の内訳を読めば、その工場に何を頼めるかが判断できます。
認証工場と指定工場に関するよくある質問
認証工場では車検を受けられないのですか
A. 受けられます。整備後に運輸支局へ車を持ち込んで検査を行います。
認証工場が代行するため、依頼者が同行する必要はありません。検査コースが平日のみ稼働という点が、預かり期間に影響します。
指定工場のほうが整備の技術が高いのですか
A. 技術の優劣を示す区分ではありません。
分解整備の技術要件は認証の段階で共通して課されます。違いは検査ラインと自動車検査員を自社に持つかどうかの一点です。
認証番号はどこで確認できますか
A. 事業場に掲げられた標識に記載されています。
発行した地方運輸局名、事業の範囲、整備主任者の氏名も同じ標識に並びます。受付付近で確認できる位置に掲示されています。
エーミングに対応する工場はどう探せばよいですか
A. 標識の事業の範囲に電子制御装置整備の記載があるかを見ます。
記載がなければその作業は受けられません。車種と年式、装備の内容を事前に電話で伝えると確認が早く進みます。


